現代にも通ずる話題の本の原作 吉野源三郎「君たちはどう生きるか」
「君たちはどう生きるか」という本が数年前からかなり話題になっています。
一度は耳にしたことがある方が多いのではないでしょうか。
実はこの本は最近書かれた本ではなく、1937年に発売された小説です。
ですが現代にも通ずるところが多く、考えさせられる作品として様々なメディアで紹介されています。
今回はそんな「現代はどう生きるか」についてご紹介していきます。
こんな人におすすめ
- 自分の生き方を見直したい、深く考えたいと思っている人
- 普段小説は読むが哲学書や自己啓発本には抵抗がある人
- 「君たちはどう生きるか」が話題になっているので、原作を読みたい人
君たちはどう生きるか とは
「君たちはどう生きるか」は吉田源三郎さんが書かれた小説です。
この本は戦時中に書かれた本で、この頃は言論や出版の自由が大きく制限されていた時代です。
そんな中で「少年少女には訴えかける余地はあるし、せめてこの人々たちは時代の悪影響から守りたい」という思いで山本有三さんがこの本を執筆されようとしていましたが、山本さんが病気になって書けなくなってしまったため吉田さんが書かれたそうです。
あらすじ・構成
この本では主人公のコペルくんという中学生の男の子です。コペル君は裕福な家庭の子で、お父さんは物語が始まる2年前に亡くなっています。
またコペル君は勉強スポーツ共に優秀ですが、いたずら好きで、先生からは「勉強は問題なのですが…」と言われるような子です。でも悪質ないたずらはせず、愛嬌のある子どもです。
コペル君にはとても仲のいい近所の叔父さんがいます。
コペル君は友人との学生生活の中で経験した様々なことを叔父さんと話し、考え成長をしていく様子が書かれています。
構成はコペル君が経験したことが物語で書かれ、その章の最後に叔父さんがコペル君に宛てて書いたノートの内容が記載されています。
ちなみにコペル君の本名は本田なのですが、いろいろあって叔父さんからコペルニクスから取ってコペル君と命名され、それが友達にも広まってコペル君と呼ばれるようになります。(小説の最初に詳しく書かれています。)
現代にも共通する内容
戦時中に書かれた本ですが、取り上げられている内容は現代でも共通するものになっています。
例えばいじめ問題です。
本の中では豆腐屋さんの息子である浦川君という子がいるのですが、いつもお弁当のおかずが油揚げだけなので、いじめっ子の中では「アブラアゲ」とバカにして呼んでいました。
いじめっ子の中には暴力的なことで有名な兄弟がいる山口君という子がいて、周りはそれが怖いがために逆らえずにいました。
あることがきっかけで、浦川君のいじめに対して怒ったコペル君の友達の北見君が山口君ともめて…
このことをコペル君は叔父さんに話したり自分で考えたりしていきます。
まわりの大人の考えや学校の環境などは戦時中を思わせるところを感じましたが、根本的な問題は現代も変わらないなと思いました。
なぜ最近話題に?
冒頭でもご紹介した通り、この本は1937年に発売されました。
ではなぜ最近話題になっているのでしょうか?
主な理由は以下の2つです
- 漫画版が2017年に発売
- ジブリが「君たちはどう生きるか」という題名の映画を作成(予定)
ジブリが映画化すると発表し、また多くの著名人がテレビ等でおすすめをして話題になりました。
また漫画化されたことにより、多くの人が手を出しやすくなったのが大きく貢献しています。
池上彰さんがテレビやご自身の本で絶賛していたのが私は印象的でした。
ちなみにジブリの映画に関してはこの本を原作としているわけではないそうで、この本が映画の主人公に大きな影響を与えたという設定らしいです。
こちらは2017年に製作が発表され、2020年10月現在公開日は未定ですが、もともとは東京オリンピックの時期にと言われていたのでそう遠くない時期に公開されるかもしれません。
まとめ
もともと子どもに向けて書かれたものなので、読みにくかったり難しい言葉遣いがされておらず、とてもスラスラ読めました。
ですが内容は大人も考えさせられるようなもので、どんな世代の人にも読んでもらいたい本だと思います。
読みやすい漫画版もとてもいいと思いますが、今回ご紹介した小説も当時のニュアンスや意味などがしっかりと伝わると思うのでおすすめです。