スキージャンプの基準点はなんで「K点」なのか?

2021年5月18日

ニュースでスキージャンプが取り上げられていると、ほぼ毎回のように出てくる言葉「K点」というものがあります。
なんとなくK点越えはいいことなんだなぁ、というイメージはつくと思いますが、詳しくはわからない方も多いのではないでしょうか?

今回はそんなスキージャンプの基本ルールからK点とは何かまでをご紹介してきます。

スキージャンプの基本ルール

スキージャンプのルールを簡単にご紹介します。

1試合で2本のジャンプを飛びます。
1本のジャンプに対する得点は、ジャンプの飛距離によって決まる「飛距離点」とジャンプ・着地の美しさから決まる「飛型点」の合計で決まります。

よって全体の得点は以下のようになります。
1本目の得点=1本目の飛距離点+1本目の飛型点
2本目の得点=2本目の飛距離点+2本目の飛型点
合計点=1本目の得点+2本目の得点

飛距離点

飛距離点はその名の通り飛距離によってつく得点ですが、これはK点を基準にどのくらい飛んだかで算出されます。
K点の距離を飛んだら60点、それよりも飛べば1mにつきプラスで点数が付きます。

ではこのプラスの点数は何点なのかと言うと、これはジャンプ台によって異なります。
これはジャンプ台の大きさによってK点の位置が異なるためです。
なので正確に言うと、1mあたりで加点・原点される点数はK点の距離によって異なります。

主なK点と1mあたりの点数は以下のような関係になっています。

K点の距離1mあたりの点数
80~99m2.0
100m~169m1.8
170m以上1.2

例えばK点が100mのジャンプ台で105m飛んだ場合の点数は
60(K点の点数)+5[m](K点との差分)×1.8(1mあたりの点数)=69点
となり、69点になります。

ちなみに飛距離は50cm単位で測定されます。

飛型点

飛型点はジャンプや着地の美しさや正確さによって決まる点数です。
この点数は60点が最大で、減点法によって決まります。

スキージャンプでは審査員が5人います。
審査員は1人につき20点の飛型点を持っており、5人の中で一番点数が低い人と高い人を除いた中間の3人の点数の得点で決まります。


K点まで飛んだ場合の飛距離点が60点なので、意外と飛型点も大きいですよね。

P点・K点・L点

スキージャンプではK点以外にもP点とL点というものもあります。

それぞれの関係は「P点→K点→L点」の順番でジャンプ台から遠くなります。
これらの点は以下の意味があります。

  • P点:標準点
  • K点:建築基準点
  • L点:ランディングエリア限界点

まずP点というのは選手が最低でも飛べるだろうとされている標準点です。

K点は上でも説明があった基準点ですが、ジャンプ台を建設する際に基準点となるように決められた点なので建築基準点と呼ばれています。

基本的に選手がP点とK点の間で着地するように想定してジャンプ台は設計されています。

最後にL点とはランディングエリア限界点のことで、安全に着地できる最長の距離にある点です。

由来はドイツ語

K点はドイツ語で建築基準点を意味する「Konstruktions Punkt」から名付けられています。

英語では「Construction Point」になるのでKじゃないじゃん!と思われた方も多いかもしれませんが、実はドイツ語だったんですね。

K点の意味は今と昔で違う?

現在はK点は建築基準点として使われていますが、昔は極限点の「Kritischer Punkt」という意味でした。

昔はK点を越えないようにジャンプ台を設計していたのですが、その後のジャンプ技術や道具の進化によってK点を越えることができるようになってきました。
これによって元の意味をなさなくなってきたため、現在の建築基準点という意味に変化していったそうです。

まとめ

K点がなぜK点で、どのように使われる点なのかお分かりいただけましたでしょうか?
基本ルールを知ったうえで試合を観るとより一層楽しめると思います。

次にスキージャンプの試合やニュースで観るときには、K点越えも気にしてみてくださいね。