教育や指導におけると「叱る」と「怒る」の違い

学校や家庭での子どもへの教育、会社では新人教育や部下への指導など、様々な場面で教育や指導が行われています。
多くの方がどこかでは教育や指導に関わっていると思います。

そんな教育や指導で多くの人が悩むのが「叱る」ことだと思います。
ほめて伸ばすべきだと言う意見に関しては私も大賛成なのですが、やはり叱らないといけない場面もあると思います。

今回はそんな教育や指導における「叱る」ことについて私なりに考えてみたいと思います。

「叱る」と「怒る」のことばの意味の違い

「叱る」とは辞書によると
「相手の非をとがめ、きびしく注意する。」
ということらしいです。

辞書によって差異はありますが、基本的に「相手の良くないところを注意する」という意味合いがあります。

一方「怒る」は
「不満・不快なことがあって、がまんできない気持ちを表す。腹を立てる。」
とあります。

2つの意味を辞書に書いてあることで比べてみると、「叱る」は理性的な行動、「怒る」は感情的な行動という違いだと思います。

ちなみに辞書によっては「叱る≒怒る」と書いてあるものもありますが、今回は違う意味として書いてあるところに注目していきたいと思います。

教育・指導における「叱る」と「怒る」

続いて教育・指導における2つの違いを考えていきましょう。

例えばあなたが営業部の中堅だとしましょう。同じ部の営業の新人が売り上げ目標を達成できなかったにもかかわらず、へらへらと「いやー売上行かなかったっすわー、へへへ」みたいなことを社内で言っていたとします。

そんなことある?と思うかもしれませんが意外と実際にあるので恐ろしいですが、今は例え話としておいて、そこには触れないようにします。

感情の面では多くの人が「ふざけるな」と思うと思います。実際私ならそう思います。
ではあなたならどうしますか?
ここで場合分けして考えてみます。

「お前なんでそんなへらへらしているんだ、ふざけるな!そんなんだから売上行かないんだ!」
これは怒るです。

「売上行かなかったんだから開き直ってるんじゃない。なぜ達成できなかったのか、どうしたら次達成できるのか考えろ。」
これが叱るだと思います。

正直内心では怒っているので語気が強くはなっていますが、内容的にはこんな違いになるんじゃないかと。
2つの違いは「怒る」のは単純に感情をぶつけていますが、「叱る」のは相手のことを考えて何が悪いのかを伝えて次どうするべきかを考えさせています。

相手の受け取り方の違い

注意されると多くの人は反感を持ちます。反射として自分を守るために正当化しがちです。
その結果としてムッとしたりしてしまうと思います。
ですが頭が冷えた後に残る感情は怒られたときと叱られた時では違ってくると思います。

怒られた場合は反感を持ったままですが、叱られた場合は自分の非を認め相手が自分のために思って言ってくれたと理解できる可能性があります。
叱られた場合は自分で改善のために考えて行動できる可能性があるのです

ここで難しいのは相手の受け取り方次第で本来のメッセージが正しく伝わらなかったり、心を閉じてシャットダウンされてしまってはプラスにはしてあげられないところです。
正直この場合はもう仕方ないと思います。
自分のことを思って言ってくれている指導に対して自分を守るための考えしかできない場合は、その人はそこまででそれ以上は伸びません。
(私は体育会系で育ててもらったのもあり考え方が古いのかもしれませんが…)

教育・指導をする人として

教育・指導をする人として「怒る」ことは役割の放棄だと思います。
そして「会社は学校ではないから」と良く言いますが、それは指導を放棄して良いという意味ではありません。
手取り足取りこちらからすべて教えてあげる必要はないだけであって、必要なところでは指導をしていくべきです。

「怒る」ことは指導ではなく、ただ感情をぶつけているだけです。
子どものケンカと大して変わらないレベルだと思います。

だからこそ教育や指導をする人は相手のことを考えて、相手をよくするために「叱る」べきだと私は思います。
道を示すまで行かなくても、方向性のヒントくらいは出してあげるのが指導する側の人には必要なのではないでしょうか。

叱り方のポイント

私が思う叱り方のポイントは以下の通りです。

  • 何が悪いのか伝える
  • どうするべきか考えさせる(場合によっては示す)
  • 感情的にならない(なるべく)

まあ場合によっては若干感情的になってしまうのは仕方がないとは思います。
でもなるべく冷静に言えたらベストです。

あと私が新人の時に指導していただいていた先輩は叱った後に「まあ俺も完璧にはできてないし、一緒に頑張ってこうな」みたいな感じで必ず言ってくださいました。
叱られてムッとしているときにこういう言葉があると、意外とすっと心に入ってきました。

まとめ

さも自分が素晴らしい叱り方を毎回できているように書きましたが、私もまだまだ試行錯誤中です。
完璧にはできなくても叱る前に一呼吸おいて、何を注意してどうしてあげたいのかを考えるだけでも単に怒るのとは全然違うと思います。

まずは意識するところから始めてみてはいかがでしょうか。