星野源 おっぱいに始まり地獄からの復活までの男の物語 「よみがえる変態」 【本・感想】
「舌を吸うと、母乳の味がした。」
これがこの本の最初の文章です。
何を隠そう著者は日本変態協会会員の星野源さんです。
出だしから変態で安心します。
今回はそんな星野源さんの本「よみがえる変態」のご紹介をします。
あらすじ
この本は2011年から2013年まで女性ファッション誌の「GINZA」に連載されていた「銀座鉄道の夜」をまとめて、大幅に加筆をしたものです。
前半と後半で大きく内容が違うため、それぞれ分けてご紹介します。
前半:連載されていたエッセイ
前半は「GINZA」で連載されていた部分で、曲作りにエロにドラマにエロにと星野源さんの日々がわかるようなエッセイになっています。
今よりも若い時期の文章なので、源さんのがむしゃらさや尖った感じが前面に出ています。青いかっこよさっていうんでしょうか。
(実際のところ今も十分尖った考えもお持ちですし、かっこいいんですが、この頃よりも前面に出さないイメージですね。)
曲作りに苦しむ姿も多く書かれており、もがきながらも曲にぶつかっていく姿は源さんの人間らしさを感じました。
ちなみに源さんはおっぱいは大きいのも小さいのも好きだそうです。
後半:くも膜下出血の闘病生活から復活まで(書き下ろし)
後半はこの本のために加筆されたくも膜下出血で倒れてから復活するまでの話です。
源さんは2012年12月16日、「化物」のレコーディングを終えた後にくも膜下出血で倒れます。
その後は手術をして入院、しばらくして仕事に戻りますが、再発してしまいもう一度手術と入院というとても苦しい時期に入ります。
苦しい時期の話なので、正直読んでいてつらくなるところもありました。
ただつらい話が続くわけではないです。病気の再発後の話に入るところで源さんは
「悲しいことばかり書くのに飽きてしまった」
「苦しい日々の中でも、心から面白いと感じれる瞬間がとても多かった」
と書かれていて、闘病中の面白い話や前向きな話に入っていきます。
若い女性の看護師さんに座薬を入れてもらったけど全く興奮しなかったとかそんな話です。
源さんの復活までの姿の詰まった内容でした。
紹介されている曲
源さんはラジオや本などいろいろなところで曲に込めた思いやエピソードを語られていますが、この本では
・くだらないの中に
・フィルム
・夢の外へ
・化物
・地獄でなぜ悪い
・ギャグ
あたりの話が出てきます。
アルバムの「エピソード」を作成している期間に書かれたものもありました。
私はこの本を読んで特に「フィルム」がより好きになりました。
源さんが闘病中に苦しすぎて窓から飛び降りて楽になりたいとまで思ったときに、つけっぱなしにしたテレビから自分の曲「フィルム」が流れてきます。
どんなことも 胸が裂けるほど苦しい
夜が来ても すべて憶えているだろ
声を上げて 飛び上がるほどに嬉しい
そんな日々が これから起こるはずだろ
これを聞いた源さんは
「ここで死んだら、今まで応援してくれた人たち、そして自分の音楽を裏切ることになるんじゃないか。まだ死ねない。これから、飛び上がるほどに嬉しいことが起こるはずなんだ。そんな日々が来ることを、俺は、歌の中で知っているんだ。」
と再び病気と向き合っていく決心を決められたそうです。
私はこれを読んでからしんどい時にはフィルムを聴いて前を向くようにしています。
大好きな曲になりました。
「蘇る変態」と「よみがえる変態」
ちなみにこの本は、2014年に発売された単行本「蘇る変態」を2019年に文庫本にしたものです。
単行本から文庫本になるにあたって題名が変わる(漢字がひらがなになっただけですが)のは珍しい気がします。
そして内容もかなり手が加えられています。
まずは単行本のあとがきの後に、文庫本のあとがきが増えています。
昔の自分の文章を読んだちょっと大人になった源さんの感想が書かれていました。
「誰だお前は。」と
あと、単行本の「蘇る変態」を読んだことがある人が手に取った時にやるであろう行動を源さんが予言していました。
私もまんまと引っかかる一人でした。笑
また本文も比べてみると違っている部分がかなりあります。
私が気が付いたのはエロがマイルドになっているところです。それでも全然変態的な文章ですが。
星野源さん大好きな人は両方揃えて読み比べると、二度楽しめるかもしれません。
まとめ
最近星野源さんのファンになった方は前半を読んで「こんな尖った時代があったのか」と驚かれるかもしれません。
変態具合は今も変わらずですので驚かないと思いますが。
後半の倒れてからの話は、やはり読んでいてつらくなってしまうところもありますが、これを乗り越えて笑い話にできる源さんの人間味あふれる文章もあり読み切ることができました。
この経験があって今の源さん、曲があると思うと、歌詞の意味の深さをより一層感じます。
すでに星野源さんのファンの人も、そうでない人にもおすすめできる本です。
ぜひ一度手に取ってみてください。