学びについてとにかく”わかりやすく”解説された本 池上彰「なんのために学ぶのか」【本・感想】

2020年7月26日

みなさん一度は子どもに「なんのために勉強するの?」と聞かれたことがあるのではないでしょうか?私は何回もあります。特に学生時代にアルバイトで塾講師をしているときなんてそんな会話が日常茶飯事でした。

ストックしている本も読み終わったので本屋さんで読みたい本を探しているときに、そんな会話を思い出す題名の本を発見しました。今回は池上彰さんの「なんのために学ぶのか」をご紹介します。

こんな人におすすめ

・昔からなぜ勉強をしないといけないのか疑問だった人
・親や先生など教える立場の人
・年齢に関係なく学んでいるor学ぼうと思っている人

内容

内容は大きく分けて下記のような感じでした。

・学ぶということはどうゆうことか
・池上彰さんの仕事での失敗談、教訓
・池上彰さんのおすすめの本
・学びについてのまとめ(世界、日本での現状を踏まえて)

学ぶということ

最初は学ぶということについて書かれています。「明日死ぬとわかっていても勉強したい」という池上彰さんのお父さんのお話や、セレンディピティについてなどがありました。

セレンディピティは他でもよく目にして私も好きな言葉ですが、本書では「思わぬ発展につながる発見」と訳されています。このような偶然の発見に気づくためにも懸命な努力や勉強が必要と書かれています。

大学の話では海外と日本の大学の違いとしてリベラルアーツについて書かれています。海外の大学ではリベラルアーツ(日本語で学芸)を重視していますが、日本では最近まで注目されていませんでした。

例えばハーバード大学では1年目から専門的な勉強をしていると考える人が多いかもしれませんが、実際には4年間かけてリベラルアーツについて学びます。その後大学院でそれぞれ専門的なことについて学んでいくのです。

すぐに役にはたたないことも、のちになって花開くということも往々にしてあります。
池上彰さんも10年後、20年後に才能が花開くような基礎を身に着けてほしいとされ、

大学ではすぐに役に立つこともたくさん学べますが、それだけやっていればいいと考えるのは、見当違いも甚だしいと思います。

なんのために学ぶのか  池上彰

と書かれています。

池上彰さんの仕事での失敗談、教訓

学生時代に自動車免許の学科試験に落ちた話から、NHKに入社しての記者生活、ニュースキャスターに週刊こどもニュース、そしてフリーになってからまでのいろいろな挫折の経験を書かれています。

私自身、週刊こどもニュースでお父さん役をされているころからしか存じ上げなかったので、それまでの経験やずっと記者でいたかったのに希望と違うニュースキャスターになっていたなど、池上彰さんについて知ることができました。

希望と違うことをすることになってもそこで腐らず学び続けたことで、今の池上彰さんの「わかりやすく説明する」という強みにつながっているんだなぁと感じました。

池上彰さんのおすすめの本

この本の中で池上彰さんは6冊の本をおすすめされています。
その中でも私が読んでみたいと思ったのはショウペンハウエルの「読書について」です。

池上彰さんはとにかく本を読み始めた大学生の時にこの本を読み、題名から本を読むといいよということが書いてると思えば「本を読めば読むほどバカになる(意訳)」と書いてあることに驚いたと書かれています。

読書は、他人に物を考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるに過ぎない。(中略)
そのため、時にはぼんやりと時間をつぶすことがあっても、ほとんどまる一日を多読に費やす勤勉な人間は、次第に自分でものを考える力を失って行く

読書について ショウペンハウル

これについて、ただ本を読むのではなく、読んだ後にしっかり自分で考え自分で考える時間が必要だと池上彰さんも書かれています。

私も最近本をたくさん読むようにしていますが、ただ読んで満足しているようではいけないなと思いました。今度「読書について」も読んでみたいです。

→後日実際に読んでみました。感想はこちら

まとめ

わかりやすい解説でおなじみの池上彰さんの本ということで、専門的な内容が出てきてもスラスラ理解して読むことができました。
学ぶということに遅すぎるなんてことはないと思わせてくれる本で、学生にはもちろんのこと、社会人や会社をリタイアされた方などにもおすすめできると思いました。

学びに関して考えるきっかけとして読んでみてはいかがでしょうか。