今作も名作とは言えず…「竜とそばかすの姫」感想〈ネタバレ無し〉
細田守監督最新作の「竜とそばかすの姫」が公開されてしばらく経ったので観に行きました。
私は細田守監督の作品が大好きで「時をかける少女」からずっとリアルタイムで追ってきました。
前作の「未来のミライ」があれだったので心配していたのですが、今作も賛否両論だろうなぁという内用だったので、個人的に良かったところと悪かったところをネタバレ無しでご紹介します。
竜とそばかすの姫とは
「竜とそばかすの姫」とは2021年に公開された細田守監督の最新作です。
前作が2018年の「未来のミライ」だったので、約3年ぶりの新作になります。
今作では仮想世界U(ユー)を舞台に、歌えなくなった主人公のすずは歌姫bell(ベル)として有名になっていきます。
そんなある日Uの平和を脅かす竜と出合い、竜とは誰なのかを追っていくというストーリーです。
感想の概要
「劣化版美女と野獣の皮を被った駄作」
私がこの作品はどんな作品かと聞かれたらこう答えると思います。
ポジティブに言うのであれば、アニメ付きのライブでしょうか。
映画としての良いところを思い浮かべるのが難しいですが、歌はいいです。
以下に細かく感想を書いていきます。
おすすめできる人、できない人
おすすめできる人
- 細田守監督作品ならなんでも観たい人
- ストーリーとかより音楽や映像美を楽しみたい人
おすすめできない人
- ストーリー重視の人
- 映画としての面白さを求めている人
- サマーウォーズ感を求めている人
良かったところ
- 絵がきれい
- 音楽がいい
- 声が違和感ない
個人的にはこの映画はライブで音楽を聴いたり、美術館で絵を見ているような映画だなと思いました。
THE MILLENNIUM PARADE(ミレニアムパレード)が作成、主人公すず役の中村佳穂さんが歌う楽曲がどれも良すぎます。
また音楽と一緒に流れる美しいアニメーションは、さすが細田守監督作品だなと思いました。
これが大画面大音量で観られてめちゃくちゃテンション上がりました。
あとは細田守作品は声優に本業じゃない俳優さんなどを多くキャスティングされるのですが、みなさん上手くて違和感がありませんでした。
特にYOASOBIのボーカルikuraこと幾田りらさんが主人公の親友役なのですが、うますぎてびっくりしました。
俳優さんの声が気になって映画に集中できないという方でも、本作はすんなりと観れると思います。
悪かったところ
- 話がぶつ切り
- 話が破綻するほどツッコミどころが多い
それでは作品の悪いところはと聞かれると、良いところ意外だいたい全部って感じになってしまいます。
特にストーリーは駄作とまでは言わないまでも酷いと思います。
なんか話がぶつ切りで、4つくらいの別々のアニメを無理やりくっつけた感じになっています。
監督が見せたいシーンがあって深く考えないでくっつけちゃったのかなって思うレベルです。
あと映画ってフィクションなので、私はご都合主義とかは全然気にならない方なのですが、この映画は話として成り立たないレベルでご都合主義がひどいです。
ネタバレ無しで書くのが難しいのですが、特に後半のあるシーンは大人なら主人公だけに任せるなよって思ってしまいました。
アニメのフィクションの世界でも意味わからない状態だったので「そうはならんやろ」って思わず思ってしまいました。なのでそこからつながるラストの方の話も全然感動できません。
この最後の方のもやもやのせいで、主人公以外の周りの人に感情移入できないというか親しみが一気に失われてしまって、いい話だなで終われなかったです。
サマーウォーズ感を期待していると
細田守監督の映画で仮想世界が出てくる作品というと「サマーウォーズ」を思い浮かべる方が多いと思いますが、竜とそばかすの姫は全く別物の映画です。
ああいう仮想世界の魅力やとんでも家族の情熱的なストーリーとか全然ありません。
ただ仮想世界とアバター(本作ではAs)が出てくるという点しか共通点はありませんし、お話としての完成度も全く及ばないので、サマーウォーズが好きだから観に行きたいという方は十中八九期待と違ったと肩を落として帰ることになると思います。
本作は観るべき?
ここまでで結構酷評してしまいましたが、面白い映画を期待しているのであれば期待に応えられないと思います。
繰り返しになりますが音楽と映像美を観る目的の方には、ある一定は楽しめると思います。
音楽や映像も映画館だからこそ堪能できると思うので、そういう方は映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか。
もう名作は作れないのか?
少し蛇足ですが、細田守監督はもう面白い作品を作れないのかと言われればそんなことはないと思います。
確かに前作の「未来のミライ」もかなり…な出来でしたが、サマーウォーズ後の「おおかみこどもの雨と雪」や「バケモノの子」も私は面白いと思いました。
細田守監督は3年ごとに夏に新作を公開しているので、次回作が公開されるはずのの2024年に期待して待ちたいと思います。